仮想慣性と減衰はどこから来るか:同期機の運動方程式で読む VSG
Summary: VSG はインバータに「ゆっくりした応答」を足したものではなく、デジタル制御器の中で同期発電機を模擬するものです。仮想慣性は回転子の慣性モーメント、仮想減衰は制動巻線、有効電力−周波数ドループは調速機、無効電力−電圧ドループは励磁調整器に対応します。この対応を押さえると、負荷ステップ時の周波数変化率と復帰時間を読み解けます。
VSG はインバータに「ゆっくりした応答」を足したものではなく、デジタル制御器の中で同期発電機を模擬するものです。仮想慣性は回転子の慣性モーメント、仮想減衰は制動巻線、有効電力−周波数ドループは調速機、無効電力−電圧ドループは励磁調整器に対応します。この対応を押さえると、負荷ステップ時の周波数変化率と復帰時間を読み解けます。
同期機の役割
従来の同期発電機は回転子に回転運動エネルギーを蓄えます。負荷が急増すると運動エネルギーを放出して周波数低下を緩やかにするのが慣性、調速機と制動巻線が出力を調整して定常に戻すのが減衰です。構網型インバータは回転子の運動方程式をソフトウェアで再現し、負荷変動や系統周波数変化に慣性応答を返します。PLL 動態で外乱を増幅する追従型とは対照的です。
FOC から VSG への対応
技術文庫は永久磁石同期機の FOC(磁界方向制御)を類比に使います。d-q 変換、運動方程式、トルク方程式、磁束方程式は同じ電動機の逆過程を記述し、外力で回せば発電機になります。このモデルをインバータに入れると、仮想慣性は慣性モーメント J、仮想減衰は制動巻線、P-f ドループは調速機、Q-V ドループは励磁調整器に対応します。つまり VSG パラメータは経験値ではなく物理的対応を持つ量です。
現地での検証
階段状負荷の投入・遮断で周波数最低点、周波数変化率 RoCoF、復帰時間を記録し、仮想慣性設定を変えて比較します。併せて PQ・VF・ドループ・VSG の対応モードが EMS 戦略と一致するか確認します。慣性を大きくすると周波数変化は緩やかになりますが、電力応答は遅くなり直流側のエネルギーバッファ要求が増えます。電池の SOC 範囲と PCS の過負荷特性(1.1 倍連続/1.25 倍 60 秒/1.5 倍 100ms)と合わせて整定してください。
よくある質問
仮想慣性はエネルギーを生み出しますか?
いいえ。慣性応答は直流側電池に蓄えたエネルギーを放出するだけで、制御則が電力応答を慣性的に見せているにすぎません。電池出力と SOC 範囲がその時間を支えられる必要があります。
ドループで均流できるのに VSG は必要ですか?
ドループは主に定常の電力配分を担います。VSG はさらに過渡の慣性と減衰を与え、負荷ステップ、発電機並列、弱系統外乱での周波数軌道を予測しやすくします。
関連製品と技術ガイド
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よくある質問
仮想慣性はエネルギーを生み出しますか?
いいえ。慣性応答は直流側電池に蓄えたエネルギーを放出するだけで、制御則が電力応答を慣性的に見せているにすぎません。電池出力と SOC 範囲がその時間を支えられる必要があります。
ドループで均流できるのに VSG は必要ですか?
ドループは主に定常の電力配分を担います。VSG はさらに過渡の慣性と減衰を与え、負荷ステップ、発電機並列、弱系統外乱での周波数軌道を予測しやすくします。